旧音源大国、岡山県美作市
ごきげんよう。JVGです。
今回は、全域で様々な旧音源が高音質で聴ける、美作市をご紹介いたします。
よろしくお願いします。
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美作市は、岡山県の右上に位置する市で、2005年に勝田郡勝田町・英田郡大原町・東粟倉村・美作町・作東町・英田町の計6町村が合併して成立。市役所は旧美作町役場です。
成立当時は、大原町・東粟倉村・美作町・作東町で防災行政無線が運用されていました(これらのうち東粟倉村では時報チャイムが実施されておりませんでした)。もちろん系統がそれぞれ異なりますので、時報の曲や鳴動時刻も異なります。通称「四国方式」です。
一覧にすると、
美作町 17:00 旧音源エリーゼのために
大原町 6:00 旧音源野ばら
12:00 旧音源歓喜の歌
17:00 旧音源夕焼け小焼け
22:00 旧音源ふるさと
作東町 17:00 旧音源恋は水色(日・火・木曜)
旧音源ふるさと(月・金曜)
旧音源夕焼け小焼け(水・土曜)
こんな感じのラインナップでした。
いかがでしょう。
完全に旧音源大好きな俺得な気がします。
ただ、当然整備時期が時期ですので、全部アナログです。いつかはシステム更新をしなければなりません。演奏装置にも寿命があるし、システム更新と同時に旧音源絶滅、時報全域統一化となってしまうのだろうか……。
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そんな心配がなされる中、2015か16(曖昧ですすみません)年頃、ついにシステム更新が行われました。
しかしデジタル化のための予算が足りないのか、より安価なFM告知放送が導入されました。
↑SYNCLAYER社製のFM告知放送制御ボックス
で、肝心の時報はというと、、、
なんと旧音源継続となりました。
更に、
全域統一化はされず四国方式も継続となりました。
これまでの音質カッスカスだったアナログから、超高音質のFMで旧音源が聴けるなんて至福なかなかありません。
いやぁ美作市さん分かってらっしゃいますねぇ。
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とりあえず以下がFM化した旧町域ごとの時報たちです。
↑大原町。市内最多の1日4回鳴動です。
↑美作町。子局は最近不具合が多発しています。
↑作東町。FM告知放送装置では、チャイムを曜日や時期ごとに変えることができないようですので、曜日変更は廃止され、通年恋は水色になりました。
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ここで気になるのが、もともと防災行政無線の設備がなかった勝田町と英田町です。
このシステム更新によって新たに敷設されたのでしょうか?
時報の実施はあるのでしょうか?ある場合は音源は???
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結論から申し上げますと、勝田町と英田町には
この更新で新たにFM告知放送が導入されました。
また、
時報も導入されました。
そしてなんと、、、
音源は旧音源でございました。
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スケジュールは、
勝田町 12:00 旧音源恋は水色
17:00 旧音源恋は水色
英田町 12:00 旧音源エリーゼのために
15:00 旧音源エリーゼのために
17:00 旧音源恋は水色
となっております。
↑勝田町。スピーカーも新品ですのでピカピカです。
↑英田町。県内では珍しく15:00にも時報が鳴ります。
2010年代に新しくできたシステムなのに旧音源を採用できたのには、1つの理由があると私は推測します。
防災行政無線の時報は、役所から電波を発信して、子局がそれを受信するという形、つまり実際に流しているのは役所のみ。といった感じです。
これに対しFM告知放送は、子局に音源が内蔵されており、しかしながらそれぞれの子局にメロディクス(演奏装置)を置くなんて手間のかかることはできませんので、メロディクスから演奏されている音楽を録音して、その音声ファイルを各子局から直接流しています(作東の曜日変更が廃止されたのはこの方式が曲を定期的に変えることに対応していないからです)。
演奏・録音用のメロディクスが1台と曲のデータが入ったカードさえあれば、録音してその音声ファイルを市内どのスピーカーからでも再生できてしまうわけです。市は、大原・美作・作東用のファイルを録音し、アナログ時代と同じスケジュールで鳴るように各子局をセッティング。
この時、ついでに勝田と英田用のファイルも同時に用意していたのだと考えられます。
おそらくメロディクスは美作町(現市役所)のものを、カードは作東(恋は水色)と美作(エリーゼのために)から借りてきたんだと思います。
古いものを末永く大切に使いたい精神なのか、はたまたその時あるもので済ませられるなら済ませてしまおうという思いなのか、、、どちらにせよ素晴らしい選択です。
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ところで、ここまで散々FM化後の話をしてきましたが、作東町に1つだけ更新されていない、未だアナログの子局があります。
↑日・火・木曜鳴動の恋は水色
こちらは、音源を子局に内蔵しているとかではなくて、親局のメロディクスの生演奏を受信している、純粋な防災行政無線です。曜日変更も健在です。なお17時より数分早く鳴り出します。
個人的には、旧音源はこのくらいの音質の方が聴いていてしっくり来る気がします()
この子局は、作東総合支所にほど近い位置にあり、曜日によってはほぼ同じ場所で音質の違う旧音源恋は水色を2度聴くことができる素晴らしい場所です。
…なんですが、
今年になって美作市から悲しいニュースが。
【悲報?】美作市・作東のアナログついに絶滅か pic.twitter.com/K3lMD6fH0R
— JVG (@gckitgki) February 25, 2021
ついに美作市からアナログ防災行政無線が絶滅してしまうようです。
特有のノイズにカッスカスの音質、そして周りの山々によっていい感じに共鳴していたザ・旧音源もいよいよ聴き納めに……。
逆にFM化後も今まで大原・美作でも生演奏が行われていたのは驚きました(要はアナログはまだ受信できたということです)。
余談ですが、旧スプリアス規格の使用期限満了が迫っていることから、県内や全国でも各地で設備更新ラッシュが起こっています。美作市の防災行政無線廃止もこれに伴うものです。
アナログだった自治体はもちろん、さらに面倒ながら、すでにアナログをデジタル化させている自治体も、再度設備更新をしなければなりません。その際、もともと旧音源だった自治体が新音源化した、なんて例をよく聞きます(近場でもつい最近ありました)。
県内でも、無線で旧音源採用自治体はそこそこあります。それらが一斉に音源更新され、貴重な旧音源が一気に減るのではと勝手に危惧しております()
しかし、美作市のFM告知放送システムは、ケーブルテレビインフラを活用した有線放送ですので、この影響を受けません。他にも、光ファイバを活用したIP告知放送なども「スプリアス?何それオイシイノ?」です。
さらに、音源を子局に内蔵しておりますので、ML-304(旧音源。1世代前のメロディクス)は古いしもう寿命やしとかの問題とは多分無縁です。システム本体の寿命が来ないと時報も故障しません。
よって、今後十数年は旧音源安泰ではないかと思われます。保証はしません。
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長くなりましたが以上、旧音源の聖地、美作市のお話をさせて頂きました。
どうしてもこの辺りは全国的には注目されにくい特性がございますが、某ウイルスが落ち着きましたら、ぜひ中国地方にも足を延ばしていただいて、チャイム収録されてみてはいかがでしょうか。岡山県内おすすめの曲や自治体はたくさんありますが、それらはまたの機会にお話しすることといたしましょう。
拙い文章ではありましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは失礼します。
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